あ め の て が み


To Ciel  あれから3年。待ちくたびれました。というか、1人で待つのはもう嫌です。 君も分かっているように私は寂しがりやの甘えん坊です。 だから決めました・・実は君がここにまだいた時から、大好きな人が出来ました。 勿論君も大好きです。これは今も変わりません。だけどその大好きとはまた違う「大好き」な人なのです。 彼もまた私を好きでいてくれました。なので交際をしました。 苦しむ君の目の前で私だけが幸せになるのは少し苦しかったです。でも気持ちは抑えられませんでした。 そしてまた突然の事かもしれませんが、私はその大好きな人と明日結婚します。 何処を旅しているかは分かりません。ですが何処にいても君が祝福をしてくれる事を信じてます。 御祝いをくれるのであれば流れ星を下さい。 本当は月がいいですが、月は御土産でという約束なので我慢します。 ずっと内緒にしてごめんなさい。結婚なんてありえないとよく言っていた君を驚かしたかったのです。 ではこれにて失礼します・・早く帰ってきてくれることを願いつつ。また会いたいです。 06/02 From Pluie  * To Ciel 昨日も書きましたが今日結婚しました。 色々書きたいですが忙しいのでまた明日手紙を書きます。 06/03 From Pluie * To Ciel 予告通り色々書きます。 バージンロード実は君の写真を持って歩きました。 歩き終えた後は、君の面倒を見てくれたおばさんに預けました。 キスは恥ずかしかったけれど本当に楽しかったです。結婚式。 欲を言えば君の結婚式も見てみたかったです。純白のタキシード姿、もう見れないのが残念です。 あと1つ聞いてもいいですか?もしかして君はあの時結婚式場にいませんでしたか? 昨日天気は晴れでした。雲は1つもありません。 なのに雨が降ったんです。曇ってから降ったわけではありません。 晴れているのに降ったのです。私でさえも初めてみました。晴れの雨を。 あれは君が降らしたのですか?星の代わりの雨ですか? その雨がやんだ後に、虹が出ました。そう、君と同じ名前の虹が。 君からの贈り物だったら嬉しいです。 06/04 From Pluie * 「ちゃんと読んでくれてると良いなー・・」 6月5日。プリュイはシエルのお墓にいた。そこには濡れて乾いた手紙があった。 あれから3年間、プリュイはこうして毎日手紙を書いていた。 「ベッドの所においたらいいか、こっちに置いたら良いか分からなかったからこっちにしたけど・・どうなんだろう」 「ちゃんと読んでくれているんだと・・思うよ?読んだのは雨で流しているのかもしれないしね」 プリュイの隣にいた男が呟く。彼女の旦那だった。 「あなたも変わってるね・・私もだけど。」 「でもそう僕は信じたいよ」 プリュイが小さく笑っていた。そういう彼の目は真剣だった。 「あははっ、実は私もそう思ってたんだ。一昨日の雨は全部読んだ報告とお祝いじゃないかって」 そう言いながらまた新しい手紙を置いた。たった3行の手紙であった。2人は目を閉じて黙祷をした。 すると、突然雨が降り出した。空は灰色。太陽は出ていない。 「流石だなぁ・・・シエルは」 「義兄さんは読むの早いんだね。」 「3行だけだったもん、そりゃ早いよ・・また長い手紙書かなきゃね」 傘もささずに立っている二人。 プリュイは指切りをするように小指だけを突き出し、空に向けてその腕を上げた。 空を見上げて、こう呟いた。 「2人で待つからちゃんと帰ってきてね?」 男にも聞こえない小さな声だった。 「プリュイ、風邪ひくから戻ろう」 そう言われ、プリュイは手を引かれてその場を後にした。 * To Ciel 内緒だけど・・1番好きなのは君です。彼は別の意味での1番好きなのです。 そして将来できるだろう私の子供は別の意味での2番目です。この先、1番が君なのは変わりません。 言い忘れてました。ごめんなさい。 06/05 From Pluie
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