生 き て 、 死 ん で



「ねえ、サキト」
「何、ユウサ」
「運命逆転できれば良いのにね」
「どうして？」
「死にたがってるでしょ？サキトは」
「・・・もう何もかもが嫌だからな」
「だからだよ」
「・・？」

「ボクはもうすぐ死んじゃうから。不治の病のせいで」

「そうだったな。でも、こんな死にたがる奴とよく一緒にいられるな」
「だってボクと君似てるじゃない？」
「何処が」
「・・・どう足掻いても願いが叶えられない所、かな？」
「ふーん」
「本当、運命逆転して欲しいよ。そうすればお互い楽になれるのに」
「どっちにしてもなれないだろ。」
「どうして？」

「俺がお前の立場になったら、多分生きたいと願うかも」
「矛盾してるね」
「だろ？」
「ボクも最初は死にたがってたから、生きたいって気持ちは余計に強くなるよ？」
「それでも構わない・・と思う」
「サキトってやっぱ面白い。」
「何でそう思う？」
「何でだろう？」
「・・・分からないのに言うなよ」
「はいはい」
「本当、いつ死んでも可笑しくない奴だとは思えないよ」

「えっ・・・そう言う、サキトも、ね」
「ユウサ？どうした？」
「大丈、夫。すぐに、治まる・・か、ら」
「だ、大丈夫じゃないだろ？」
「空に、行っても・・忘れ、ないよ・・？」
「バカな事言うな」
「おやすみ・・」
「・・・ユウサ？ユウサ！目を覚ませ！」
「なーんてね・・・」
「え？」
「驚いた？さっきの全部演技だよ。近い将来こうなる事は確実だけどね」
「バカ、本当に死んだかと思った・・」
「はは、ごめんごめん。からかってみたくなってね」
「・・・ユウサの願いを叶えようと思った」
「え？」
「生きたいという願いを叶えようと、思ってしまったよ・・皮肉だな」
「本当に・・？もしも明日死んだとしたらそうする？」
「多分そうする。お前の願いが叶うなら死にたいって俺の願いは叶わなくても良い」
「・・・ありがとう」
「さ、もう帰ろうか。今日も死ねなかったから、此処にいても無意味だ」
「そうだね。また、明日ね」


＊


「俺より先にか・・しかもあの演技みたいに逝きやがって・・仕方ないから叶えてやるよ」

ありがとう、嬉しいよ

「ユウサ・・？気のせいか」


「あ、雨だ。・・・これで死ねなくなったのは嫌だけど、また来てやるよ」




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