V o y a g e - t o I -
とある少年がいました。この少年は旅をしていました。
1人ではありません。少年はずっと一緒でした。大好きな人達と。
そんなある日突然の別れを切り出されました。
「私達はもう此処までしか行けないのですよ」
少年は涙を流しました。嫌だ、一緒に来てよと叫びました。
それでも大好きな人達は首を縦には振りませんでした。
何度も何度も少年は嫌だと言い続けました。
「大丈夫、私達は貴方の傍にずっといますから」
そういう大好きな人達の笑顔はとても穏やかでした。
怒る事もせず、泣く事もせずにただただ笑っているだけでした。
少年は泣くのをやめました。そしてこう言いました。
「本当に?嘘付かない?」
勿論、と大好きな人達は言いました。少年は笑いました。
大好きな人達も笑いました。最後に彼らはこう言いました。
「姿はなくても、心は繋がっているよ」
「今はお別れだけど、必ずまた会えるよ」
少年は元気良く、うんと頷きました。
そして少年は大好きな人達に背を向けて、前に進み出したのです。
必ず来る再会を信じて。
『大好き』
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